【漢方に生きる笹の効用】
「防腐効果や健康に良い竹が、薬として役に立たないはずはない」というは理にかなっていると言えます。 わが国は古くから漢方(中国医学)が伝統的に用いられてきました。こ
もともと漢方は、自然、天然に産したものを薬として用いられています。
今から約千七百年前の漢方の古い書物に『神農本草経』というのがありした。また同じ時代に『傷寒論』という医学書が出ていますが、これらの書物にも竹の葉、根、実、汁の効用を説いた記述が残っています。特に『傷寒論』には竹葉石膏湯という処方が出ています。
青森県五所川原市立西北中央病院皮膚科医長・鈴木賢二先生がおっしゃるように、漢方では笹のことを竹葉と呼び(日本産のものとは異なるとのこと)、活用しています。竹葉の薬効は、解熱、抗炎症、鎮咳、解毒、消腫瘍、抗口渇、止血、殺虫などに効果が高いと言われています。
下記の内容は、故 大塚敬節 博士(前日本東洋医学会会長)の著によるものになります(竹の皮の配合例も挙げました)。
1 | 甘湯 | (かんとう)-竹の甘肌を削ったものと、米と生姜を加えた煎じ薬。 熱病の後でしゃっくりが出たり吐き気がしたりして、食事が落ち着かない場合に効く |
2 | 生蘆根飲 | 生の芦の根に、竹の皮の削ったものと米と生姜を加えた煎じ薬。 効用は1と同じ。 |
3 | 生地黄湯 | しょうじおうとう-竹葉の他に生地黄をはじめ、十一種の薬が入っていて、流行性熱病 のこじれたものを治す。 |
4 | 竹飲 | 竹の皮の他に生姜、梔の実、黄芩が入ったもので、高熱、頭痛があって食べると吐く という症状に効く。 |
5 | 前胡湯 | 竹葉の他に六種の薬が入っていて、高熱や悪寒があって、食べたものを吐くという 症状に効く。 |
6 | 地黄湯 | 竹葉の他に他黄が入っていて、咳、喉のただれに効く。 |
7 | 紫胡湯 | さいことう-竹葉、紫胡などが入っていて、熱のために意識が朦朧となり、胸の脇や 関節の痛み、食欲がないという症状に効く。 |
8 | 沢瀉湯 | たくしゃとう-さじおもだかなどに竹葉が入ったもの。胃炎で食欲がないときに効く。 |
9 | 五味丸 | 竹の皮、茯苓が入ったもので、長く吐き気が治まらないときに効く。 |
10 | 大半夏湯 | だいはんげとう-食べると吐くというときに用いる。竹の皮に人参、茯苓が入っている。 |
11 | 補肺湯 | ほはいとう-肺を丈夫にし、咳を鎮め、声が嗄れるのを治す。 竹葉、桑白皮、五味子が入っている。 |
12 | 茯苓湯 | ぶくりょうとう-のどがひどく渇くのを止める。 竹葉の他に黄鳥瓜の根、茯苓が入っている。 |
そのほかにもたくさんありますが、竹葉がいかに古くから薬用に用いられました。
竹や笹を用いた応用例
強い口臭とき | 煎じた液で口をゆすぐ |
頑固な水虫 | 笹と南天の葉を同量に混ぜ、それを煎じた液で洗う |
蜂にさされたとき | 女竹の葉を煎じた液で温める |
犬に噛まれたとき | 竹の葉の汁を塗る |
はやり目 | 竹の葉の汁を塗るとよい。 |
しゃっくり | 竹の甘皮を煎じた液を飲むとよい。 |
生理が長引いて止まらないとき | 竹の甘皮を煎じて飲むとよい。食当たりのときは、竹を黒焼きにしたものを飲むとよい。 |