【『竹取物語』の翁が“超”元気だった理由について】

満月皆さんは『竹取物語』をご存知でしょう。『竹取物語』という名前を知らなくても、「かぐや姫」だったらどなたでも知っているはずです。

この物語を改めて説明するまでもないことですが、内容をざっとお話ししておきます。

昔々駿河の国に“竹取の翁”という六十過ぎのお爺さんが住んでいました。このお爺さんは野や山に分け入っては竹を取り、それで竹細工をつくって暮らしていました。

このお爺さんには連れ合いがいましたが、二人の間には子供が一人もいませんでしたので、毎日毎日、淋しく暮らしていたのです。

二人は神様に、

「どうか私たちに子どもを授けてください」と一生懸命にお願いしました。

ある日、お爺さんが裏の山の竹林に入ったところ、根元が光っている竹が一本あったのです。お爺さんは不思議に思って、そっとその竹を切ってみると、中から可愛らしい女の子が出てきました。

お爺さんは大喜びでその女の子を家に連れて帰りました。お婆さんもその子を見て、「これは神様からの授かりものだ。私らの子どもとして大切に育てましょう。」

そうしてその女の子は“かぐや姫”と名付けられ、お爺さんお婆さんの子どもとして、大切に育てられることになりました。

その子は成長するにつれてますます美しくなりました。この評判を聞きつけ、京の都から三人の公家が求婚にやってきました。

かぐや姫は、

「私は誰とも結婚したくありません。どうぞ断ってください。」

とお爺さんお婆さんに言いましたが、三人の公家の求婚はますます強くなる一方でした。困り果てたかぐや姫は、

「そんなにおっしゃってくださるのなら、私の欲しいものを下さいますか。お三方それぞれに私の欲しいものをお話しします。まず燕が卵を産むときに一緒に産むという子安貝を取ってきてください。次に火の中でも燃えないという“火鼠の衣”を持ってきて下さい。最後に天竺にある蓬萊山の生えている木の枝を一本持ってきて下さい。その枝は幹が金で真珠の実が生っています。この三つのうち一つでも持ってきた人と結婚します」と言いました。もちろん、この三つは実際にあるものではなく、結婚を断る口実だったのです。

最後に時の帝から、「后として迎えるがどうか」と声がかかりました。しかしかぐや姫は、悲しそうに首を横に振ってこう言いました。

「お爺さんお婆さん、長い間お世話になりました。実は私はこの世のものではありません。月の世界のものなのです。今度、満月になったとき、私は月の世界へ帰らなくてはなりません。

それを聞いたお爺さんお婆さんはびっくり仰天し、なんとか月の世界に帰ることを思い止まらせようとしました。しかしそれは無駄でした。かぐや姫の気持ちは変わらなかったです。

思い余ったお爺さんは、帝に、「実はこうこうしかじか…」と話して、姫が月に帰るのを防いでほしいと申し出ました。帝は大勢の軍勢を満月の夜、お爺さんの家に遣わし、月からの使者を追い帰すようにすると申しました。

満月の夜がやってきました。何十倍もの月の光がお爺さんの家を照らしました。その光に乗って月からの使者が訪れたのです。

かぐや姫は、お爺さんお婆さんの前に両手を付き、「長い間本当にありがとうございました。私は月に帰らねばなりません。ここに月の世界にしかない不老不死の霊薬です。これを飲んでどうぞ長生きをして下さい」

と涙ながらに申しました。

帝の軍勢はお爺さんの家を十重二重に取り囲み、使者が家に入れないようにしました。しかし使者が現れると、大勢の兵士は皆、手足がしびれて動けなくなり、やがてかぐや姫は使者が持ってきた輿に乗ると静かに月へ旅立ってしまったのです。

後に残されたお爺さんお婆さんは、かぐや姫がいなくては長生きする甲斐もないと、かぐや姫がくれた不老不死の霊薬を、月に一番近い富士山の頂上で燃やしました。その煙はいまでも絶えず立ち上っているのです。

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