日本の笹の活用と歴史
日本人には昔からとても馴染みの深いクマ笹(熊笹)
日本の笹の活用と歴史
【新年の松飾り】・・・平安時代の後期から年神様が来るという印として飾る習慣になっていたようです
【七夕】・・・笹は大昔から神聖なものとして大切に扱われていました。
笹は、根強く、繁殖力も強く、風雪や寒暖にも強く、その生命力と神秘性を兼ね備えており、神事にも使われていました。また、風に揺れた笹の葉の音は神様を招くとされ、七夕の願い事も神聖な笹に吊るすようになったとという歴史があります。天に向かってまっすぐ伸びる笹は、まるで願い事を天にまで届かせてくれるという思いなのかもしれませんね。
【笹団子】・・・戦国時代に携行保存食として生まれたとされる。以前は端午の節句の供物とされた。上杉謙信が発明したという俗説もある。
【笹かまぼこ】・・・明治の初め、三陸沖に一大漁場を持つ仙台ではひらめの大漁が続き、その利用と保存のため、すり身にして手の平でたたき、笹の葉の形に焼いたのが、笹かまぼこのルーツといわれています。
【笹】・・・笹は冬場でも青々としているので、生命力が強く邪気を払う植物として大切にされてきました。
また、あまり虫がつかないので、昔は、稲作の時に笹を使って虫よけをしていたことも関係しているのではないかと思われます。
など、すべて笹や竹の持つ力に頼ったものです。私達は昔から自然と恵みと智恵から関わってたのです。
子宝に恵まれる?
子宝に恵まれるという謳い文句の温泉の周りにはクマザサが群生しているところが多いようです。
クマ笹(熊笹)ってどんな植物?
熊笹はイネ科の植物で約60年~120年間、枯れずに地中の養分を吸い続けます。
厳しい冬でも枯れず、雪の中で越年するほど強い生命力を持っています。
笹の種類は1250種でその約半数の662種は日本各地に生息しています。
一般にクマザサと呼ばれるものにも数種類あり、竹の子が食用されるチシマ笹(別名ネマガリダケ)、節句に食べるチマキや笹餅に使われるチマキ笹、笹の縁がきれいに白く隈取るミヤコ笹が有名です。
動物が笹を好んで食べる理由
熊は哺乳類の仲間では冬眠する珍しい動物ですが、3ヶ月の冬眠から目覚めた熊の穴からは糞が見つかりません。それは冬眠に入る前に熊は松ヤニを食べて肛門をふさぐからです。冬眠の前、熊は一冬を過ごせるだけの餌を大量に食べます。特に高カロリー、高タンパクのものを好んで食べます。しかしこれだけのものを食べて一冬中糞をしないということはいくら熊とはいえ大変なことです。腸内は異常醗酵し、血液は汚れ、毒素が体中にまわってしまいます。これを防ぐために、冬眠前の餌を食べたあと、さらに大量のクマ笹を食べるのです。そして春になって冬眠から目覚めた時、一番最初に食べるのも雪の下に残ったクマ笹なのです。
熊はクマ笹が腸の異常な醗酵を防ぎ、血液浄化作用や解毒作用があることを本能的に知っているのです。
ネコは不思議な動物で神秘的な感覚の持ち主です。食あたりの時などは道端の緑葉草を好んで食べています。またうっかりふぐ中毒になった時は笹葉を食べて解毒し、元気を取り戻します。生きる本能を敏感にかぎわけるネコの嗅覚は人間よりも数倍上なのです。
昔の農家はニワトリを飼う時、庭に竹やぶがあると放し飼いにしました。朝はコケコッコーと元氣なひと声、こんな場合のニワトリは健康で病気などしません。病気がち、栄養失調ぎみのニワトリを竹やぶに放しておくと、その落ち葉をあさり、すぐ健康を取り戻します。産卵にも好影響を与えどんどん産み落とします。
パンダの常食は笹や竹ですが、パンダの糞はまったく臭くないのだそうです。これは笹に含まれているクロロフィルという成分が主として影響しているようです。このクロロフィルには脱臭作用があり、科学的にいうと臭気をだす原因となるものを酸化還元して無臭とするのです。
このためクロロフィルは歯や口からでる口臭を防ぐものとして、歯科、口腔外科で脱臭剤として用いられています。
アイヌの伝説
クマザサは切り傷などに効くということは、昔からの言い伝えなどで知られています。特にアイヌの伝説の中には、狩人の矢で傷ついた熊がクマ笹の葉を噛んで傷口に当て、それで治療したというのが残っているくらいです。
しかしこれらはあくまで伝説であって、薬理学上確たる証明はされていませんでした。しかし「クマ笹の抽出分画およびビタミンCの併用効果」と題する論文が発表されました。それによると、創傷などにクマ笹の成分が非常によく作用することが明らかにされています。